このコラムは無料メールマガジン「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.1〜vol.10(2002年3/7〜7/18)に音響測定の関連コラムとして連載していたvol.6の音響測定のコラムを編集掲載したものです。
今回からは、伝送周波数特性の測定です。 伝送周波数特性とは、受音点での(ホールやスタジアムの客席など)周波数の違いによる音圧レベルの変化を示す特性です。
周波数は、音圧レベル分布の第3回、第4回などでお話したように、音として伝わる空気の振動回数です。 振動回数が多い(振動速度が速い)と高い音に聞こえ、振動回数が少ない(速度が遅い)と低い音に聞こえます。
音は、高い音から低い音までが、ミックスされて、1つの音として聞こえています。 ピアノの中音域のラの音は、1つの440Hzの周波数で振動している音ではなく、1オクターブ、2オクターブ高い音、少し低い音など色々な振動が混ざって1つの「ボーン」というピアノの音として聞こえます。
オクターブは、第4回の時にお話ししましたように、倍、半分の関係にある特殊な音程関係です。
1オクターブ上の音などオクターブ関係の高い音は、きれいにラの音の振動周期と一致します。 沢山のオクターブ関係の音が丁度、ラの440Hzという周期で一致して全体としては、440Hzの周期を持つ音のように規則性が生まれるため、ミックスされた複数の周波数の成分を持つ音が440Hzの音程を持つ音だと感じます。
このような周期性のある周波数を基本周波数(基本周期)といい、対して、オクターブ関係の音など他の成分の音を倍音といいます。
倍音の出方や種類で、人間は、ピアノの音だとか、バイオリンの音だとかと聞き分けています。 ピアノの1オクターブ2つの鍵盤を押すとオクターブの和音になりますが、非常に調和して聞こえるのは、この倍音構成を考えても明らかです。
以前に基本周波数(基音)と倍音の説明を何かで見た時、楽器音を例にとって、基音が最も成分としてレベルが高く、倍音は基音よりレベルが低いというような説明をみかけました。
おおよその楽器音は、そのような傾向にあるのですが、ギターなどの撥弦楽器やピアノなど打弦楽器は、弦と強さによって、時間と共に、第2倍音(オクターブ上)の周波数の方がレベルが高くなる場合があります。 これは、機構を考えると当然で、弦の端で反射する振幅が進行する振幅と一致するためです。
ピアノを強く(ff:フォルテッシモ)弾くと、音色がかなり変化するのは、この反射が大きくなるためです。基音のレベルが高いからその音程に聞こえるのではなくて、倍音との周期性と人間の経験から、基音の音程に聞こえるというのが正しいのではないでしょうか?
音圧レベル分布、伝送周波数特性
「アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ」のvol.1〜10に連載していた 音圧レベル分布と伝送周波数特性に関連したコラムをサウンドコラムのページに編集して掲載しました。
音響システムやオーディオ、AVに関連した雑記
「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64に 音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。
サウンドコラム 音響とAV,オーディオの四方山vol.41〜50
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