このコラムは無料メールマガジン「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64(2002年8/15〜2004年11/18)に音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。
前回はディジタルアンプの特徴としてアナログのアンプより構成がシンプルなことについてでした。
【デジタル・アンプ】
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─→┃DSP┃─→┃ アンプ(D/A)┃─→ スピーカ
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【アナログ・アンプ】
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─→┃DSP┃─→┃D/A┃→┃アンプ┃─→ スピーカ
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最終的に入力信号がアナログ信号で増幅されて出力されるのですから必ず、アナログ信号が増幅されるパワー出力部が存在しているはずでパワー出力のみを考えれば、アナログ方式の方がシンプルであるはずだと直感的に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、現在のAVセンターは、サラウンドなどのDSP処理を伴いますから、内部ではディジタル信号に変換される部分を伴います。
デジタルアンプの場合には、内部のデジタル信号をパワー増幅部で直接アナログに変換されるアンプ自体がD/A変換器の役割を兼ねるのに対してアナログ・アンプの場合にはD/A変換部でアナログ信号に変換したものをアンプで増幅するという点でデジタルアンプの構成がシンプルであるといえます。
これはパワーアンプが独立している機器構成の場合には、事情が異なります。
アナログ信号伝送(配線)を使ってパワー増幅だけを行うのであれば、アナログ・アンプはそのまま増幅できますが、デジタル・アンプの場合には、わざわざデジタル信号に変換しなければ増幅部で扱うことができません。
【デジタル・アンプ】┏━━━┯━━━┓
アナログ ─→┃A/D|アンプ┃─→ スピーカ
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【アナログ・アンプ】┏━━━━━━━┓
アナログ ─→┃パワー・アンプ┃─→ スピーカ
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設備などで利用されているアンプは一般に単体のパワーアンプが用いられます。 商用設備などでは色々な放送エリアごとにミックスされた音声信号をパワーアンプで増幅してスピーカまで伝送されます。
┏━━━┓ アナログ
エリア1 ─┬→┃アンプ┃──────→ エリア1
(アナログ) | ┗━━━┛ スピーカ1
| ┏━━━┓
└→┃アンプ┃──────→ エリア1
┗━━━┛ スピーカ2
┏━━━┓
エリア2 ─┬→┃アンプ┃──────→ エリア2
(アナログ) | ┗━━━┛ 配線 スピーカ1
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伝送経路(スピーカ配線と入力配線)がアナログである場合には、デジタルを直接アナログにするというデジタルアンプの特性は生かせません。 入力信号がデジタルであればパワーアンプをデジタルにする利点が生じます。
従って、商用施設などの設備でデジタルアンプが採用される時には、デジタル信号入力される構成にするのが良いといえます。
┏━━━┓ アナログ
入力信号 ─┬→┃アンプ┃──────→ 放送エリア
(デジタル) | ┗━━━┛ スピーカ
| ┏━━━┓
└→┃アンプ┃──────→ 放送エリア
┗━━━┛ スピーカ
スピーカ配線はアンプの出力から電力線を長距離をスピーカごとに配線しています。 スピーカとデジタルアンプを一体にしたデジタルスピーカにすると、入力信号をそのままスピーカまで配線することができるようになります。
アナログであってもアクティブスピーカーにすればプリ信号のまま伝送することは可能ですが、ノイズ耐性を考えれば現実的ではありません。 デジタルであれば、伝送ノイズに強く、光ファイバーを使うこともできるため音質的にも配線も有利になります。
これはコンシューマのAVでも言えるのですが、家庭の場合には距離も短く、むしろ、スピーカ配線自体を無線にするなどした場合にデジタルスピーカの存在意義が生まれます。
しかしながら、スピーカごとに電源を確保することになるため、1概にどの構成が優れているとは断言はできません。 少しデジタルアンプの特徴から機器構成に話が飛びました。再びアンプの特徴に戻ります。
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「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64に 音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。
音響測定、音圧レベル分布、伝送周波数特性
「アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ」のvol.1〜10に連載していた 音圧レベル分布と伝送周波数特性に関連したコラムをサウンド コラムのページに編集して掲載しました。
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