このコラムは無料メールマガジン「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64(2002年8/15〜2004年11/18)に音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。
以前にこのコラムでソニーのデジタルAVアンプTA-DA9000ESの記事をご紹介したことがありますが、11月(2004年9月掲載時)に下位モデルのTA-DA7000ESが発売されます。
▼スペックアップとコストダウンを両立した中級機
〜ソニー「TA-DA7000ES」
IT media ライフスタイル ニュース 2004.09.07
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0409/07/news004.html
前回のTA-DA9000ESは金井氏の担当でAV雑誌などでも多数、取り上げられ、オーディオ雑誌のベストバイなども総なめにした感がある製品ですが、今度のTA-DA7000ESでは9000ESの時に採用されたアルミ削りだしなどの高価な部分はコストダウンによる違いが生じるだろうことは当然予想できますが、記事によるとデジタルアンプ部のS-Master Proはスペックアップしている部分もあるようです。
さて、前回はでD級アンプが身近になったことや、デジタルアンプ化についてでした。ここでデジタルアンプの特徴を挙げてみます。
先の記事に出てくるソニーのTA-DA9000ESは大きいので「小型化」が特徴というとイメージしにくいかもしれませんが、あの製品は最大200W×7ch(8Ω)というハイパワーな仕様です。
アナログで同じ出力ならば、とても、あの大きさには収まらないですし例外的と言えます。
AVアンプは背面の端子から外形が決まってしまいますし、耐震性のために肉厚のシャーシを使っていたりするために、アナログとの外形の差はないのですが、ホームシアター製品に分類されているアンプ+プレーヤーが小型で大出力が主流であることを見るとデジタルアンプという技術は小型化に有利なことが解ります。
前回は、D/A変換ブロックの後アンプがあるというブロックを記載しましたが、デジタルアンプのアンプ部を見るとPWMまたはPDMのデジタル信号増幅部とLPFから構成されています。
デジタル・アンプ部
┏━━━┓ ┏━━━┓
デジタル─→ ┃アンプ┃─→┃LPF┃─→ アナログ
信号 ┗━━━┛ ┗━━━┛ 出力
PWM/PDM
各社技術的な工夫がありますが、デジタルアンプの基本的な部分はデジタル信号のパルスを高速なMOS-FETで増幅し、LPFで平滑化(積分)してアナログ信号にするというのが基本的な技術です。
PWMとPDMの違いは、信号の大小をパルスの「幅」であらわすか「密度」であらわすかという違いです。
シャープの1bitアンプはPDM方式、ソニーのS Master ProはPWM方式です。 アンプ部のPWM/PDM部を1bit D/Aコンバータに置き換えるとD/A変換器と全く同じで出力レベルが違うだけだということが解ります。
増幅部がD/A変換器そのものなので、デジタル信号を処理したものをアナログで増幅するよりもシンプルな構成になります。アナログのD/A変換器の部分が「パワー出力の1bit D/A変換器」だと考えると解りやすいですね。
【デジタル】 ┏━━━┓ ┏━━━━━━━━━┓
─→ ┃DSP┃→┃ アンプ(D/A)┃─→
┗━━━┛ ┗━━━━━━━━━┛
【アナログ】 ┏━━━┓ ┏━━━┓ ┏━━━┓
─→ ┃DSP┃→┃D/A┃→┃アンプ┃─→
┗━━━┛ ┗━━━┛ ┗━━━┛
パワー出力を扱う特有の技術がありますから、単純にシンプルになるから良いとはいえませんが、技術的な工夫によって、高品位にもできる可能性がある点がデジタルアンプの増幅部だといえます。
PWM/PDMは高速なスイッチング動作をする信号です。
過去には、これを高精度にパワー増幅することなど、高品位なアナログ出力のデジタルアンプは難しかったのですが、現在は技術的にクリアされ高級オーディオでも主流の技術となってきました。
音響システムやオーディオ、AVに関連した雑記
「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64に 音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。
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「アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ」のvol.1〜10に連載していた 音圧レベル分布と伝送周波数特性に関連したコラムをサウンド コラムのページに編集して掲載しました。
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