このコラムは無料メールマガジン「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64(2002年8/15〜2004年11/18)に音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。
23日(2003年3月掲載時)に発表される第75回アカデミー賞には、長編アニメ部門にスタジオジブリの「千と千尋の神隠し」がノミネートされたことで従来以上に注目を集めています。
千と千尋の神隠し」は、国際的にも評価が高く、アニー賞(国際アニメ映協会主催)、ロサンゼルス映画批評家協会の最優秀アニメ賞などを受賞しています。
▼WakerPlus.com 「第75回アカデミー賞特集まるごとガイド」
「ノミネート作品一覧」で部門賞までノミネート作品の一覧が掲載されています。
http://www.walkerplus.com/tokushu/200303131/
米国アカデミー賞の音響関係の賞は、音響賞と音響効果賞の2つの部門賞があります。
音響賞は技術的なシステムやミックスなどの関係者を対象にしており、音響効果賞は音響編集(ディレクション)に対して授与される賞になっており、前者はスタジオやプロダクション、後者は、音響ディレクターなどが対象となっています。
映画制作、配給のシステムなどが米国と日本では異なりますが、ことスタッフの分権、プロデューサーの編集権限など、日本と比較して随分と権限と役割分担の考え方が異なるように思います。
日本ではプロデューサーが自分の意向で直接カット編集することは少なく、監督の作品に対する意向が最大限尊重され、スポンサーの意向や配給などの問題がなければ、プロデューサーや他のスタッフの権限が監督より勝るということはないように思います(制作費や監督のギャランティの仕組みが海外とは異なるので当然という部分もありますが)。
米国の場合、プロデューサーが編集の最終権限を持っていて、監督の意向に合わないとしても、完全に編集変更する権限を持っています(このためディレクターズカット版が登場します)。
キャスティングにしても、当然、監督やプロデューサーの意向を受けてはいますが、権限を持っているのはキャスティング・マネジャーでオーディションなどで俳優を決定するのも監督ではなくキャスティング・マネージャーということです。
ジョージルーカスは「帝国の逆襲」で、監督から上がってきたフィルムを徹底的に編集して変更しているらしいです。
ルーカスは「帝国の逆襲」で、オープニングクレジットに監督の名前を入れませんでした(監督が気に入らなかったわけではないと思いますが)。
米ディレクターズ協会の規則には、監督の権利を守るため、オープニングにクレジットしなければならないという規則を設けています。
これに反してオープニングでクレジットしなかった(エンディングではクレジットされます)ために協会から罰金を言い渡され、罰金を支払った上、作品よりクレジットを重視することを避難して協会を脱退しています。
音響編集でのディレクション権限はどうなのかは、聞いたことがないのですが、映像などと同様、かなり分権されているのだと思います。
ディレクションが委譲されていますから、アカデミー音響効果賞を受賞する音響のディレクターは、監督の編集補助をしたのではなく、彼が作品の音響効果を生みだしたその人だと言えるのでしょうね。
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「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64に 音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。
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