このコラムは無料メールマガジン「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64(2002年8/15〜2004年11/18)に音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。
前回につづいてCDの話題が連続しますが...。
ZDNet 日本語版のインタビュー記事の中で「CDは一時期よりも音が落ちています...」というものがありました。コメントの主は、CDの生みの親、中島平太郎氏です。
ここだけを取り上げると、非常に扇情的な感がありますが、インタビューで語られているのは、コピーコントロールCDと著作権に関する部分と、廉価なドライブやメディアが製造されるためにPC用を中心として、かつてのオーディオ向けの製品などと比較して音質の悪い製品が多くなったという背景での発言です(小見出しに「音質は確実に落ちている」とつけられていますが...)。
PC用のCD-ROMドライブなどを考える時、本当にかつてより音が悪くなっているかというと、かならずしもそうとも言えないように思います。
例に出されているのは名機と呼ばれているような機種との比較であって、一般的、平均的なPCのオーディオの音質は、聞くに耐えないレベルから、オーディオ機器の仲間に入れても良いレベルに向上したといっても良いように感じます。
パソコンの場合には、多用途であり、音質を求めていない人や用途もあり、むしろその方が多数であるため、CD-ROMドライブは、音質よりコストとデータ記録の利便性が重要とされるのは仕方が無いかと...。
問題は音楽用としても多数利用されるにいたっても、平均的な音質があまり芳しくないということだと思いますが...電源事情などを考えると...HDDや高速、大容量のDRAM、高解像度にビデオと条件は悪いですから、むしろ、高音質の製品が非常にガンバッテいるということではないかと思います。
家電のCDプレーヤー(や記録メディア)などでも、普及率が上がるに従い、ハイエンドを除いてコストダウンの代償として音質が犠牲になっている機器が存在し、そのようなことも含めてのCD/CD-Rの音質が悪くなったということもあるかも知れません。
現在のオーディオは、メーカーなどの努力もあって趣味のレベルではなく生活のレベルにまで広がっています。インターネットなどでも、例えば、検索カテゴリに趣味のオーディオが含まれていないことは、非常に多く、オーディオは一部の人にとっては趣味であっても一般的には、白物家電などの仲間といえる存在にまでなっているように思います。
インタビューにある一時期のCDより現在のCDの方が音が悪いという視点とは異なりますが、コンシューマーレベルの音質を振り返ると、CD,MD,DVD,ソリッド・オーディオが普及し、アナログ時代やデジタルオーディオ聡明期と比較して平均的な音響機器の音質は確実に高音質です。
CDの「音質が確実に落ちている」のは、客観的な判断材料がないので判りませんが、ハイエンドを除いた市場で、高音質を強く望まれているのかという現実が反映されていると見ることもできそうです。
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「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64に 音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。
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