このコラムは無料メールマガジン「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64(2002年8/15〜2004年11/18)に音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。
ITメディアにソニーのハイエンドAVアンプTA-DA9000ESの開発者の金井隆さんのインタビューとレビュー記事が掲載されていました(オーディオに興味をお持ちの方は雑誌などでも登場されているのでご存知かもしれません)。
▼ITmedhia ライフスタイル
ソニー、「音作り」の哲学を語る
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0404/30/news026.html
レビュー:ソニーのハイエンドAVアンプ「TA-DA9000ES」を試す
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0404/30/news029.html
AV関係はピュアオーディオから映像が中心となり、また、デジタルによって、技術的な内容や工作、趣味的な部分が少なくなったこともあってオーディオ雑誌もインタビュー記事なども少なくなっています(記事もオーディオよりではありますがAVアンプです)。
インタビュー記事では「デジタルアンプの音が良くないのは、それを良くするためノウハウが確立されていないから」「日本は音質の違いに対して、もっとも厳しい意見が返ってくる市場」など断片的ではありますが興味深い発言も収録されています。
DS9000ESの開発時のチューニングの難しさから心身症になりながらチューニングなさった話題も印象深く、記事の「音を作る」の題名にされた理由もわかるような気がします。
デジタルアンプの場合には、アナログに比較してチューニングできる方法が少ないのではないかと思いますし、アナログ・アンプの時のような「音作り」はあまり行われていないのではないかと想像していましたが、数ヶ月間かけて1000個所近くチューニングされているようです。
金井さんは、ご自分のホームページに製品の説明やホームシアターのサラウンドシステム、デジタル・オーディオの説明などを掲載なさっている貴重なメーカー開発者の方です(公開情報であっても、あまり自分の担当した製品の技術説明のページを作って質問などに回答なさっている人は多くはないと思います)。
図や写真を使ってわかりやすく簡潔に解説なさっていますので、もし、ご存知なければ一度ご覧になってみてください。
▼かないまるのホームページ
AV関係とご趣味の蕎麦のページがあります。
http://homepage3.nifty.com/kanaimaru/
「STR-VZ555ES」に関連してホームシアターの解説(TA-DA9000ESと同様、555ESもホームページで解説なさっています)では、映画館での再生を考慮したマスタリングの音を一般のオーディオ・ルームでどのように再現するべきかというような音作りの思想が垣間見られます。
DA9000ESには「DCフェイズリニアライザー」という位相を補正する機能が搭載されています。 フェイズリニアライザーは、低音の位相をアナログ・アンプのように位相ずれさせる機能です。
アナログで作られた音を同じ音にするためにデジタル・アンプの位相をあえてずらして音を作るという機能です。
フラット、位相ずれなしの源信号をストレートに再生するのではなく、ここでもミキシングスタジオのアナログの音を再現するためにアンプの位相をアナログに合わせるというデジタル回路が設けられています。
この回路は低域の位相を演算することもあって65ビットの演算回路になっているようです(デジタル演算処理では精度低域の方が語長を必要とします)。
スタジオやコンサートホールなどで使われるスピーカやアンプ、ミキサーなどのプロ用音響機器や楽器でも「音作り」はされますが、デジタルになるとアナログの時とは異なる視点、発想が必要になります。
先のインタビュー記事でも「デジタルアンプではアナログアンプでの常識が通用しない」と発言されています。
金井さんのインタビューやホームページには、製品情報、技術情報というだけではなく、音作りの発想、ポリシーが垣間見えるような気がします。
音響システムやオーディオ、AVに関連した雑記
「アメニティ&サウンド音と快適の空間へ」 vol.12〜vol.64に 音響システムの関連コラムとして連載していたものを編集掲載したものです。
音響測定、音圧レベル分布、伝送周波数特性
「アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ」のvol.1〜10に連載していた 音圧レベル分布と伝送周波数特性に関連したコラムをサウンド コラムのページに編集して掲載しました。
サウンドコラム 音響測定編 音圧分布音圧レベル(SPL)、オクターブバンド、dB、ノイズ |
サウンドコラム 音響測定編 周波数特性周波数、基音と倍音、無響室、フラット再生 |