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■ アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ【Vol.6】2002年5月16日
□ デバッギング・ミステリー
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http://www.ari-web.com/
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□はじめての方へ、
このメールマガジンのご登録をいただきましてありがとうございます。
「アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ」は、隔週(第1、第3木曜日)
にお届けしています。内容を充実できるようにがんばりますので、末永く
お付き合いいただけますようお願い申し上げます。
■□■□■ CONTENTS Vol.6 □□□□□□□□□□□□□□□□□
1.デバッギング・ミステリー
2.サウンド 音響測定(6)-周波数特性(その1)
3.3GPP音声通信(1) 圧縮と通話のはなし
4.クリッピングの理由(URLいろいろクリッピング)
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■1.デバッギング・ミステリー
………………………………………………………………………………………
ハードウェアでも、ソフトウェア、ファームウェアでも、おおよそ、
技術者にとって、デバッグ作業は簡単なものではありませんし、設計
とならんで、重要な開発過程です。一般のソフトウェア開発の工数な
どについて語られる時、大体2つのことに集約されていると言えると
思います。
1.開発工数の多くの影響はデバッグ作業が多大な影響を与える
2.設計時点でのレベルが、デバッグ工数に多大な影響となる。
流行のXP手法などでも、設計手法やテスト手法に対する開発手法を
グループ化し、設計段階からの精度を高めることや、開発管理するこ
とが重要なポイントになっていて、テストやデバッグの効率が改善さ
れることが主張されているように、デバッグは、開発作業の重要課題
です。
デバッグ作業は、人の能力差が極端に出る作業工程であると感じてい
ます。また、デバッグ作業の能力差は、手法管理だけでは、克服でき
ないのではないかと感じています(ある程度の初歩的な差は埋めるこ
とはできそうですが)。
デバッグという作業は、原因を突き止めることと、改善のための分析
が主な作業となります。オシロスコープ、ICE(インサーキットエミュ
レータ−)、デバッガなどの開発ツールや測定器などで、直接的な原
因となる因子を見つけることが容易な場合には、それほどでもありま
せんが、リアルタイムでマルチタスクだからこそ起こる障害や、原因
の直接的な現象が見れない場合には、原因を推測、仮定して考える能
力が必要となります。
…… 受託開発のご案内 …………………………………………
ARIでは、デジタル機器のハードウェア、ファームウェア
の開発をお手伝いしています。開発事例、実績などは、
ホームページに掲載していますのでご覧ください。
▼ARI技術・開発のページ
http://www.ari-web.com/develop/index.htm
………………………………………………………………………
DSPやデジタル機器を開発する場合には、ハードウェア・デバッグと
いえども、CPUやDSPのデバッグ用コードがないと、基本的な現象確
認すらおぼつかない場合があります。ハードウェアの設計者がDSP
コードを書かなければいけないわけではありませんが、ソフトウェア
によって制御されているIC(デジタルのカスタムチップなど)やC
PU、DSPがどのように動作しているかや、テストや対策確認のた
めにどのように制御することが必要かなどの知識がないと、ソフトウ
ェア担当者のハードウェア知識が高くないと障害を克服するのに時間
を要します。
DSPの開発などですと、ICEがなかったり、デバッガではデバッグ
できない場合などもありますし、マルチチップ構成の機器などになる
と、複数のCPUやDSPが同時に動作していますから、開発ツール
を使う技能だけでは、デバッグ作業はできません。
…… マルチチップ構成 ………………………………………
ハードウェア開発事例に掲載している音声コーデック装置
は、DSPのマルチチップで構成されていました。
▼ハードウェア開発事例
http://www.ari-web.com/develop/hardwear/etc0101.htm
………………………………………………………………………
デバッグ作業は、大半が原因を突き止めること(犯人探し)だといわ
れるように、証拠(現象、症状、もしくは、設計書やソースコード)
から、犯人を推理(または仮定)してロジカルに謎解きを行うミステ
リー小説の探偵のようだと感じます。再現性の低い不具合を追及する
場合など、その障害が、どのようにして発生するのかを開発ツールな
どで調べるばかりでなく、推理するように、考察することで解決する
ことが多いと思います。この仮定(推理)が正しく、原因を見つけた
時は、結構うれしかったりしますし、作業中は、憂鬱な問題であって
も解決できた時は、ミステリーの難事件を解決したような気分になり
ます。
仮定や推理の能力と、現象や症状が何を表しているかを見抜く能力、
消去法などで、原因と考えた仮説を消去して行き、本当の原因を特定
できる能力などが要求されるため、人による差が大きくなるのだと思
いますし、この差は開発手法だけでは完全に埋めることができないか
もしれません。
デバッグのこの探偵能力の差を埋める開発手法が提案されるとよいの
ですが...
………………………………………………………………………………………
■2.サウンド 音響測定(6)-周波数特性(その1)
………………………………………………………………………………………
この連載は、音響業務関連として音響測定や音に関する内容をお届け
しています。前回までは、音圧レベル分布に関連してお話しました。
前回までの内容をご希望の方がいらっしゃいましたら、バックナンバ
ーをホームページ掲載していますのでご覧ください。
第1回 音圧分布測定のご紹介
http://www.ari-web.com/mm/bn/20020307.htm
第2回 測定の作業、方法
http://www.ari-web.com/mm/bn/20020321.htm
第3回 測定に使用する信号
http://www.ari-web.com/mm/bn/20020404.htm
第4回 オクターブと周波数
http://www.ari-web.com/mm/bn/20020418.htm
第5回 音圧レベル分布測定
http://www.ari-web.com/mm/bn/20020502.htm
今回からは、伝送周波数特性の測定です。伝送周波数特性とは、受音
点での(ホールやスタジアムの客席など)周波数の違いによる音圧レ
ベルの変化を示す特性です。
周波数は、音圧レベル分布の第3回、第4回などでお話したように、
音として伝わる空気の振動回数です。振動回数が多い(振動速度が速
い)と高い音に聞こえ、振動回数が少ない(速度が遅い)と低い音に
聞こえます。
音は、高い音から低い音までが、ミックスされて、1つの音として聞
こえています。ピアノの中音域のラの音は、1つの440Hzの周波数で
振動している音ではなく、1オクターブ、2オクターブ高い音、少し
低い音など色々な振動が混ざって1つの「ボーン」というピアノの音
として聞こえます。
オクターブは、第4回の時にお話ししましたように、倍、半分の関係
にある特殊な音程関係です。1オクターブ上の音などオクターブ関係
の高い音は、きれいにラの音の振動周期と一致します。沢山のオクタ
ーブ関係の音が丁度、ラの440Hzという周期で一致して全体としては、
440Hzの周期を持つ音のように規則性が生まれるため、ミックスされ
た複数の周波数の成分を持つ音が440Hzの音程を持つ音だと感じます。
このような周期性のある周波数を基本周波数(基本周期)といい、対
して、オクターブ関係の音など他の成分の音を倍音といいます。
倍音の出方や種類で、人間は、ピアノの音だとか、バイオリンの音だ
とかと聞き分けています。ピアノの1オクターブ2つの鍵盤を押すと
オクターブの和音になりますが、非常に調和して聞こえるのは、この
倍音構成を考えても明らかです。
…… 基音と倍音 …………………………………………………
以前に基本周波数(基音)と倍音の説明を何かで見た時、
楽器音を例にとって、基音が最も成分としてレベルが高
く、倍音は基音よりレベルが低いというような説明をみ
かけました。
おおよその楽音は、そのような傾向にあるのですが、ギ
ターなどの撥弦楽器やピアノなど打弦楽器は、弦と強さ
によって、時間と共に、第2倍音(オクターブ上)の周
波数の方がレベルが高くなる場合があります。
これは、機構を考えると当然で、弦の端で反射する振幅
が進行する振幅と一致するためです。ピアノを強く(ff)
弾くと、音色がかなり変化するのは、この反射が大きく
なるためです。
ですから、基音のレベルが高いからその音程に聞こえる
のではなくて、倍音との周期性と人間の経験から、基音
の音程に聞こえるというのが正しいのではないでしょう
か?
………………………………………………………………………
今回から、伝送周波数特性について開始しましたが、倍音の話に
なってしまいました(^^;。次回は、周波数特性に戻って続けたい
と思いますので、よろしく、お付き合いください。それでは...(^^)
▼音響関連のサービス情報については、ARIホームページをご覧く
ださい。
http://www.ari-web.com/sound/
………………………………………………………………………………………
■3.3GPP音声通信(1) 圧縮と通話のはなし
………………………………………………………………………………………
4月からのFOMAエリア拡大と、FOMA契約数が、昨年度のNT
Tドコモの予定数を大きく下回ったこと、CDMA20001Xのサ
ービス開始、機種販売開始、KDDIの携帯端末での決済サービス試
験導入などのニュースで次世代携帯電話がクローズアップされること
が多かった4月から5月初頭でした。
ユビキタス・コンピューティングの大本命と見られてきた第三世代移
動体通信、W−CDMA、CDMA2000がエリア限定とはいえそ
ろったわけですが、大方の予想を下回る契約数に、ユビキタスのよう
な携帯情報機器の無線通信方式は、IEEE802.11a無線LANが本命では
ないかという意見も強く見られるようです。IEEE802.11a無線LANは、
Air-Portなどの家電に採用されていますからご存知の方も多いかと思
います。
▼IEEE標準規格は IEEE Standards Association
http://standards.ieee.org/
▼IEEE802a.11の規格は、PDFなどで入手可能です。
http://www.ieee802.org/11/
▼日本語の一般向けの(簡単な)説明は、
ASCII24 - アスキーデジタル用語辞典などにもあります。
http://yougo.ascii24.com/gh/76/007650.html
携帯電話などの移動体通信では、大勢の人が無線通信をいたるところ
で利用できるようにする必要があります。携帯電話の通信無線は、ご
存知のように電波が利用されています。大勢の人が同時に電波を利用
できるようにするために、通話信号を通信する電波帯域、通信範囲(
電波が届く範囲)を少しづつに分割することで多くの人が利用できる
ようにしています。さらに、デジタル方式では、デジタル信号を細か
く時間を分割して利用します。
1回線あたりの音声を送る通信量を減少させるために行われています
から、当然ですがリアルタイムに完全な音声を双方向で通信すること
が難しくなります。そこで、音声の質を落とさずに音声を圧縮して少
ないデータ量で通信する技術が必要となります(これに加え、携帯電
話の通信全体としては、i-modeや電子メールなどの情報データ通信の
ための工夫も必要ですね)。
音声を圧縮して通信しようとすると、アナログでもデジタルでも、圧
縮して送信した音声と受信して復元した音声が一致する必要がありま
す。そのため、各社で通信方式をあわせて通話できるように規格が決
められています(電話の使い方や音声圧縮の仕方、データ通信の仕方
など広範囲に渡って互換性のための規格を決める必要があります)。
携帯電話の通信方式は、一般に大きな分類として、第1世代のPHSな
どアナログ(ADPCM)方式、第2世代のデジタル携帯電話のPSI-CELP方
式(Pitch Synchronous Innovation-Code Excited Linear Predi-
ction)、そして、第3世代となるFOMAなどW-CDMA、auのCDMA2000方
式となります(海外の各方式や詳細はここでは省略します)。
…… 音声圧縮と通話 ……………………………………………
CELPなどのデジタルの音声圧縮では、数学的に色々と
ありますが、細かいことは置いておくとして...(^^;
極端に少ないデータ量で通信を実現するために、乱暴に言
ってしまえば、人間が「あ」と発生すると、送信側の携帯
電話は、コードブックという音声辞典を見て、どうも「あ」
の音らしいゾと圧縮したものに、音量などスパイスを加え
てデータにして、ほんの少しだけ送信します。
受信した携帯電話は、「あ」の音を適当な音量で再生する
んだね?と音を出します。このようにして脅威の小量デー
タ通話、ハーフレート通話が実現されています。これが、
デジタル携帯電話の通話が、周囲の音がうるさいところな
どから電話されると、音かわからない音がすることがある
理由です。
関係者の日々努力されている皆さん、乱暴に言い切って
スミマセン。 m(__)m
………………………………………………………………………
次回から、携帯電話の第3世代の音声通信の規定や、測定試験などに
ついて数回に渡ってお話ししたいと思います。でも...難しく堅い説
明は、通信キャリアさんやメーカー、規格団体さんなどの資料を見て
くださいね。 ARIらしく...難しい説明はできません...(TT)。
ARIは、第3世代移動体通信の規格に対応した音声試験機MTA-01WB
(W-CDMA対応モバイル通信機器用オーディオ測定システム)を開発、
販売しています。
ご採用いただいた携帯電話メーカ各社様ありがとうございます。(^^)/
▼モバイル通信機器用オーディオ測定システム
http://www.ari-web.com/mobile/
………………………………………………………………………………………
■4.クリッピングの理由(URLいろいろクリッピング)
………………………………………………………………………………………
今回は、URLをお届けするのではなくて、どうしてこのクリッピング
をやろうと企画したのかをお話します。
この「アメニティ&サウンド」は、隔週発行ですので、ニュース媒体
としては向いていません。技術関連、もしくは、何らかの特定領域の
最新ニュースやダイジェストをすると、最低でも週間ベースでなけれ
ば、量的にも、ニュース性も失われます。
先月、CNNニュースの特集コーナーで、新聞と広告について語ってい
るものを放送していました。その中で、ニューヨーク・タイムスや、
ワシントン・ポストなど、数誌の日曜版をテーブルに並べて見せて、
その広告量の多さと情報量の多さを少し非難ぎみに話していました。
アメリカのメジャー新聞の日曜版は、ご存知の方も多いかと思います
が、日本の週刊誌の厚さを超えるページ数があります。
CNNの番組の中では、新聞に掲載されている情報量と人間の文字を読
む平均スピードを計算すると、新聞の日曜版を読みきるには、1週間
以上かかり、1週間すると次の日曜版が届くと冗談めかしていました。
情報の量の多さは、何もアメリカの新聞広告に限らず、新製品や、発
表など非常に多く、現代の日本のように、ワールドワイドでの情報を
必要としている状態では、全ての情報に通じることは、たとえ、商用
クリッピング・サービスを利用してダイジェスト化しても不可能では
ないかと思われます。
そこで、このクリッピングのように、新規性でも、他の媒体で重要と
されなくても、ARIのフィルターを通したとき、興味深いものをクリ
ッピングすることにも意味があるのではないかと考えました。
次回は、また、面白そうな情報だと思ったURLを少しだけお届けしま
す。
………………………………………………………………………………………
■編集後記
5月2日のARIホームページのリニューアル時にメールマガジンの
登録、解除機能が正常動作しなくなっていました。
5月2日から8日の間にエー・アール・アイホームページで、解除さ
れた方は、まだ、このメールが届いている状態だと思います。お手数
をお掛けしまして大変、申し訳ありませんが、配信元かARIのホー
ムページで、再度、解除操作をお願いいたします。
Vol.4でお届けしました。オーラサウンドのテッド・テレスキー氏か
らのメッセージは、エー・アール・アイのホームページに写真付きで
掲載しています。メッセージ本文は同じですが、写真を見るとテッド
さんのイメージがよくわかっていただけるかと思います。もし、よろ
しければ、ご覧ください。
▼AURASOUNDより
日本のプロ音響・映像・アミューズメント関係の皆様ヘ
http://www.ari-web.com/aurasound/from_ted.htm
それでは、次回6月6日に
ARI A&S 編集部
【配信】……………………………………………………………………………
このメールマガジンは、次のメール配信サービスによって発行
されています。
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http://www.melma.com/
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まぐまぐ:
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Macky!:
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【配信中止】………………………………………………………………………
配信中止をご希望の方がいらっしゃいましたら、お手数ですが、
登録いただいた各配信先で解除いただきますようお願い申し上げ
ます。(みなさまにご登録いただいたメールアドレスは弊社では
記録、収集しておりません)。
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