長期予報が精度アップ

アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ vol.38
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音響技術とソフトウェア、ハードウェア開発

音響と開発 : Sound & Development
株式会社エーアールアイ / ARI
ARI CO.,LTD.
アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ

長期予報が精度アップ

38

メールマガジン「アメニティ サウンド 音と快適の空間へ」は、現在、休刊中です。 バックナンバーのコラムの内、サウンドコラムと技術開発コラムは、 サウンド、技術開発コラム に再編集、一部加筆修正して掲載していますので併せてご利用ください。

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■ アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ【Vol.38】2003年9月18日
□    長期予報が精度アップ
□    http://www.ari-web.com/
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□はじめての方へ、
このメールマガジンのご登録をいただきましてありがとうございます。
「アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ」は、隔週(第1、第3木曜日)
にお届けしています。内容を充実できるようにがんばりますので、末永く
お付き合いいただけますようお願い申し上げます。

 ■□■□■ CONTENTS Vol.38 □□□□□□□□□□□□□□□□□

  1.技術と開発の閑話(3)
    「ありえない」(後編) - ありえない条件と対策 -
  2.サウンド(36)
    米国のCD市場の変化とCCCD
  3.3GPP音声通信(31)
    GSM音響規格−送話歪特性
  4.長期予報が精度アップ(URLクリッピング)

………………………………………………………………………………………
■1.技術と開発の閑話(3) 「ありえない」(後編)
………………………………………………………………………………………
 今回も、2003年8月14日の北米の大停電に発して安全機能-フェイル
 セーフについての話題の続きです。

  ▼前回までの内容をご希望の方はバックナンバーをご覧ください。
   vol.36とvol.37です。
  http://www.ari-web.com/mm/bn/20030807.htm
  http://www.ari-web.com/mm/bn/20030821.htm

 フェイルセーフに限らず、一般に部分的な論理は局部にとどめるとい
 う設計方法が適していますが、局部での問題解決の方法や条件によっ
 ては、北米広域停電のように連鎖が収束しなくなるような現象に発展
 します。

 9月12日、北米大停電で米エネルギー省が発表した調査報告では、
 オハイオ、ミシガン両州での電圧低下が原因となった可能性があると
 発表されましたが、電圧低下した原因までには至っていないとのこと
 です。

 この根本原因も重要ではありますが、連鎖停止によって、大規模な
 停電に発展したことは、さらに重要な問題であると思います。

  ▼Yahoo!ニュース - 海外トピックス - 北米大停電の関連ニュース
  http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/world/massive_blackouts/

 フェイルセーフとして考えた時、発電、変電設備を守るという点では
 成功しているものの電力供給の役割を可能な限りまっとうさせるとい
 うバックアップの観点では完全に失敗しています。

 この事故から学ぶべき点は、このような難しい連鎖を断ち切りながら
 電力ネットワークのフェイルセーフと被害を最小限の規模と時間に限
 定するためのバックアップを実現する方法はどのような方法が取られ
 るかということではないかと考えています。

 ■「ありえない」
 表題に「ありえない」としたのは、今回の事故のような条件は、事前
 の検証では、「ありえない」とされているようなタイプの問題に端を
 発しているように思うからです。

 各種のシステム開発に携わると、条件を検討する上で「ありえない」
 という意見を耳にすることがあります。かなりレアなケースであって
 も、物理的に可能な場合には「ありえない」わけではないですから、
 ワーストケースを検討する必要がありますが、確率的、条件的に稀な
 ものに対しては、時々「ありえない」ため対策は完全でなくても良い
 という発想をする人が少なからず存在するように思います。

 対象のシステムによっては、バックアップやフェイルセーフにコスト
 をかけるべきではない場合がありますから、難しい判断になりますが、
 問題を回避しなかった場合の影響の大きなケースや、人命にかかわる
 場合、ユーザーの時間や資産のロスが伴う可能性がある場合、システ
 ムの信頼性の低下による信用低下が重大とされる場合、やはり、複合
 的な障害時合などのレアケースも十分に考慮されるべきでしょう。

 ウィルス進入など「ありえない」はずなのに、ウィルスで住基ネット
 を停止することになったり(対応の安全策と自治体の迅速さ、判断は
 すばらしいと思いますが)「ありえない」という想定は何かと問題が
 多いかと思います。

 物理的に「ありえる」場合、想定対応策を考える方がワーストケース
 での破綻や被害、最終的なコストを少なくできることは間違いありま
 せん。

 それでは、次回もよろしくお付き合いください(^^)。

  ▼ARIは、デジタル機器のハードウェア、ファームウェアの開発を
   お手伝いしています。
  http://www.ari-web.com/develop/index.htm

………………………………………………………………………………………
■2.サウンド(36) 米国のCD市場の変化とCCCD
………………………………………………………………………………………
 このコラムは音や音響についての話題をお届けしています。

 以前にもCDの話題をしましたし、クリッピングでも全米レコード工業
 会(RIAA)の訴訟の記事などを取り上げました。

 HotWired Japanのミュージックのニュースでは頻繁にファイル交換と
 RIAAのニュースが記事になっていますが、今月は、CDの売上の変動に
 関する記事が連続していました。

  ▼音楽はアルバムよりもアラカルトで―
    ―全米上半期CDシングル出荷数が160%増
   HotWired Japan 2003年9月4日
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/business/story/20030908104.html

  ▼RIAAの訴訟でCD販売は回復するのか
   HotWired Japan 2003年9月9日
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/business/story/20030910107.html

 ダウンロード・サイトの売上が伸びつつあり、RIAAの訴訟の件と前後
 してCDの売上は減少、ファイル交換も減少し、シングルの売上が激増
 という米国市場の動きということになるでしょうか。

 短期的な動向では判りませんが、特定の楽曲は購入したいが他はいら
 ないと考えていると分析されるのももっともな市場動向ではあります。

 日本では、携帯電話の着メロと着うたのダウンロードは人気が高いも
 のの、音楽のダウンロード販売は好調とはいえず、CD販売も低調な傾
 向にあるのは、ご存知の通りです。

 CDの市場も、米国では、まだ、あまり販売されていないCCCD(コピー
 コントロールCD)が増加していますし、再販制度もあり、独自の市場
 になっていますので、米国とは同様とはいえませんが...

 この日本の現象も併せて考えると、特定のシングル曲1曲というより、
 もっと短い着メロ、着うたのフレーズ部分だけ、つまみ食いのような
 状態で良いということか? とも考えられます。

 CCCD(コピーコントロールCD)は、欧州と日本では各社販売展開してい
 ますが、米国では、まだ、本格的には販売されていません。BMG社は
 米国でもCCCDを本格的に販売を開始すると発表しました。

  ▼BMG社、米国でCCCDを本格展開
   HotWired Japan 2003年9月16日
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/business/story/20030916107.html

 米国では「自分のCDプレーヤーでは再生できなかった」として返品さ
 れる可能性が非常に高いと予想されますし、場合によっては集団訴訟
 することも十分考えられるお国柄ですから...(米国の販売店なら他の
 商品同様、返品を受けるのでしょうね。結果、メーカーに保証要求に
 なりそうなので、うかつに販売できないですね)

 欧州と日本では販売されていても米国ではなかなか踏み切れません。

 BMG社が本格販売に踏み切るというのもそれだけファイル交換などの
 違法コピー問題が米国でも深刻だということでしょう。BGM社の場合、
 全てのCDプレーヤーで再生可能ということですから、先の返品問題な
 どを回避した形にできるのかも知れません。

 動向が注目される所です(RIAAとの相関もですね)。

 それでは、次回もよろしくお付き合いください。前回までの内容は、
 バックナンバーをご覧ください。

  ▼バックナンバー目次
  http://www.ari-web.com/mm/bn/index.htm

………………………………………………………………………………………
■3.3GPP音声通信(31)  GSM音響規格−送話歪特性
………………………………………………………………………………………
 2003年度移動電話国内出荷実績が(社)電子情報技術産業協会 JEITA
 の統計情報で発表されました。発表によると2003年7月度の移動電話
 国内出荷数量は、5,254千台、前年比140.3%と9ヶ月連続のプラスと
 なった模様です。

 「500万台を超えたのは、JEITAが統計をとりはじめて以来、2000年
 9月,2001年3月に続き今回で3回目」とのコメントされているように、
 前年比のみならず7月度は本格的に好調だったことが判ります。

 先月このコラムで、公衆PHS分野の出荷も好調となっているとお伝え
 しましたが、7月度も同様の傾向となっているようです(こちらは、
 前年度比で見た場合ですが204%の実績と2倍以上となっています)。

  ▼「統計資料」「2003年度移動電話国内出荷実績」に掲載されて
   います。
   (社)電子情報技術産業協会 JEITA
  http://www.jeita.or.jp

 KDDIの3G、CDMA200 1xのか加入者数が1000万を突破とも発表され
 ました。また、前回、ここで触れました中国についてですが、2003
 年上半期は、国内メーカーがシェアを逆転したとのことです。

  ▼KDDI、3G携帯・CDMA2000 1x 加入数が1000万を突破
   Japan.Internet.com ワイヤレス - 2003年9月17日
  http://japan.internet.com/allnet/20030917/2.html

  ▼中国携帯市場では国内メーカーがシェアを逆転
   Japan.Internet.com ワイヤレス - 2003年9月17日
  http://japan.internet.com/allnet/20030917/5.html

  −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 前回はGSM音響規格の受話感度周波数特性測定についてご紹介しま
 した。今回は歪測定についてです。

  ▼前回までの内容はバックナンバーをご覧ください。
  http://www.ari-web.com/mm/

 ■ 5.Sending Distortion (送話歪)

 送話歪測定とは送話方向の歪成分の量を評価するための測定です。

 歪成分とは端末のマイクロホンの入力される周囲の環境騒音や伝送
 経路のノイズなど全ての成分の事を指しており、
 
  [基準信号のレベル] 対 [基準信号を除く全ての周波数成分]

 の差をPOI点での測定結果より求め「歪成分はxxdB」という評価の
 仕方をします。

  ▼送話歪の計算方法については以前にご紹介しました。
  http://www.ari-web.com/mm/bn/20030306.htm

 基準信号には1000Hzの正弦波(正確には1004〜1025Hzの範囲で規定
 されています)を使用して行いますが、話者は小さい声から大きい声
 の人までさまざまなので、測定では低いレベルから高いレベルまでの
 10段階(-35〜+10dB relative to ARL)で行い、それぞれレベル毎に
 規定された7ポイントの歪成分の量を評価します。

  ※ARLとはPOI点の出力電圧が-10dBm0であるときのMRPでの音圧
   レベルです
  ▼。ARLについては以前にご紹介しました。
  http://www.ari-web.com/mm/bn/20030306.htm

 測定はSLRや送話感度周波数特性同様、LRGP(テストヘッド)を使用し
 て行います。測定の内容、規格値については3GPP規格の場合と同じ
 です。

 歪特性は周囲の環境騒音も歪み成分に含まれますが、定量化できない
 騒音下での測定結果は評価ができないので、騒音に対して独自に定量
 化基準を設けて評価するか、無響室などで測定することになります。

 3GPP規格では、特殊な測定を除き測定環境は64dBspl(A)以下の環境
 で測定する様に規定されています。

 メーカーでは、規格に規定されていない条件であっても製品品質のた
 めに社内基準を設けて規定意外の特性評価を行っている場合もありま
 す。携帯電話は機能的な競争やデザインなどが目立ちますが、基本性
 能でも品質向上などのメーカー努力がされています。

  ▼3GPP送話歪測定については以前にご紹介しました。
  http://www.ari-web.com/mm/bn/20020919.htm

 次回は受話歪をお届けします。

  ▼ARIは3GPP,GSM,PDC音響測定に対応した「携帯通信開発用
  音響測定システム MTA-01WB-S」を開発・販売しています。
  http://www.ari-web.com/mobile/3g/mta01-wbs/info-3gpp.htm

  ▼GSM端末音響システム 製品概要(MTA-01WB-S)
  http://www.ari-web.com/mobile/3g/mta01-wbs/info-gsm.htm

………………………………………………………………………………………
■4.長期予報が精度アップ(URLクリッピング)
………………………………………………………………………………………
 WEB参照可能な掲載記事などから毎日伝えられるニュースや記事から
 気になる情報や、翌日には埋もれてしまいそうな記事をピックアップ
 してご紹介しています(このメールマガジンの発行周期が隔週という
 こともあって新しい記事ばかりではありません)。

 ■6ヵ月の長期予報が精度アップ
 気象庁は6ヶ月長期予報の手法を変更するとのことです。

 3ヶ月予報には、既に3月から「数値予報モデルを用いた手法(力学的
 手法)」という方法が使われておりう、9月から、6ヶ月間の予報に
 も数値予報モデルを適用するということです。

  ▼気象庁
   「寒候期予報と暖候期予報に数値予報モデルを用いた手法
   (力学的手法を導入します)」
   報道発表資料の平成15年9月11日に記載されています(PDF)。
  http://www.jma.go.jp/JMA_HP/jma/index.html

 この資料によると過去のデータによる検証予報実験では、統計的手法
 (従来の方法)の精度は37%で、力学的手法の精度は45%と精度が向上
 したとされています。

 この資料には記載されていませんが、新聞報道では、新規に導入する
 スーパーコンピュータの計算能力で実現したとも記載されていました。
 大気モデルと海面水温モデルを用いたモデルを利用すると記載されて
 いますので、併用する部分での規模拡大が大きな変更点のようです。

 予測の適中率は、12月から2月の的中率の方が高く54%となっており、
 逆に暖候期の6月から8月は、36%と低い傾向になっています。今年の
 夏の日々の天気予報は、的中率が低かったのはご存知の通りですが、
 全般に夏の方が予報が難しい傾向にあるのかもしれません。

 また、的中率が3割から5割程度ということですが、これが高い確率
 か低い確率かというのは...考え方1つのような気がします。

 「平年より高い」,「平年並」,「平年より低い」の予想的中率ですの
 で、単純な確率だけで考えるとサイコロ式でも3割になる可能性があ
 ります。

 資料にも、常に「平年並」と予報する気候値予報の適中率は33%とあ
 りますので、暖候期の36%は、ほぼ、これに等しいとも考ることがで
 きます(3%向上させるのがどの程度むずかしいのか判らないので...
 スミマセン。悪意はないです)。

 このメールマガジンのコラムでも「予想」の話題を取り上げたことが
 ありますが、統計手法では3割後半の確率と、6割は、はずれる可能性
 があるので、夏場の気象に影響を受けるタイプのビジネスの方の対策
 は大変でしょうね。

  ▼バックナンバー 【Vol.35】2003年8月7日
   サウンド(33) 過去と周期と予想
   http://www.ari-web.com/mm/bn/20030807.htm
  ▼バックナンバー(マンスリー)【Vol.14】2003年8月号
   過去と周期と予想(加筆編集版)
   http://www.ari-web.com/mm/html/20030822.htm

 スーパーコンピュータで可能になるということですので「力学的手法」
 は、格子点での力技のシミュレーション計算を行うようですね。

 ■5億個のLogitechマウス
 ロジテック・マウスは累計5億台だそうです。

  ▼Logitech マウス、累計5億台を出荷
  http://japan.internet.com/wmnews/20030917/5.html

 累計 5億台 - シェア50%近くというのはすごいですね。パソコンの
 購入時に不要でも「マウスなし」で購入できないメーカーも多いと思
 いますので、その恩恵もあるかもしれません。

 昔、噂で米国マイクロソフト社の会議で重役が「ソフトウェアに専念
 してマウスから撤退してはどうか」と意見した所、ビル・ゲイツ氏が
 激怒して殴ったというものがありましたが...

 マイクロソフト・マウスはシェアはどのくらいなのでしょうか?

………………………………………………………………………………………
■編集後記
 実は、無知でお恥ずかしい限りですが、今回のURLクリップの2件の
 「6ヶ月予報の確率」と、ロジテック・マウスのシェアの高さは意外
 に感じました(デルなどのOEMが大きいのでしょうか)。
 
 ご存知の方には常識なのかもしれませんが、近年の天気予報は比較的、
 的中率が高いので、3、4割の的中率というのは意外な感じがしまし
 た。「3割4割は当たり前」(スミマセン、関東ローカルですね)と
 いうことかと思っていましたが、「運命は天のみぞ知る」というのに
 近い感じです(天のみぞ知るなのですけれども)。

 気象庁は、2月から予報に利用している格子点データを一般公開して
 利用できるようにするそうです。

 ナンバー予想機や競馬予想機を作っているメーカーは統計などの処理
 によって高勝率とウタっているので、ぜひ、天気も挑戦してください。

 4割以上、5割程度の勝率が実現できれば高確率です。気象に影響を
 受ける多くの企業が購入する可能性がありますから一躍ヒットメーカ
 ーですし、最高の技術アピールになります。

 それでは、次回、2003年10月2日Vol.39もよろしくお願いします。
                        ARI A&S 編集部

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