過去と周期と予想

アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ vol.35
音響と技術 メールマガジン
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音響技術とソフトウェア、ハードウェア開発

音響と開発 : Sound & Development
株式会社エーアールアイ / ARI
ARI CO.,LTD.
アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ

過去と周期と予想

35

メールマガジン「アメニティ サウンド 音と快適の空間へ」は、現在、休刊中です。 バックナンバーのコラムの内、サウンドコラムと技術開発コラムは、 サウンド、技術開発コラム に再編集、一部加筆修正して掲載していますので併せてご利用ください。

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■ アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ【Vol.35】2003年8月7日
□    過去と周期と予想
□    http://www.ari-web.com/
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□はじめての方へ、
このメールマガジンのご登録をいただきましてありがとうございます。
「アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ」は、隔週(第1、第3木曜日)
にお届けしています。内容を充実できるようにがんばりますので、末永く
お付き合いいただけますようお願い申し上げます。

 ■□■□■ CONTENTS Vol.35 □□□□□□□□□□□□□□□□□

  1.開発ツールの話(28)
    デバッグ・ツール選択と効率

  2.サウンド(33)
    過去と周期と予想

  3.3GPP音声通信(28)
    GSM音響規格−SLR/RLR測定

  4.RIAAの召喚状発行依頼(URLクリッピング)

………………………………………………………………………………………
■1.開発ツールの話(28) デバッグ・ツール選択と効率
………………………………………………………………………………………
 前回までデバッガ、ICEについてを長く続けていましたが、ご存知の
 ように、ソフトウェア開発の中では効率的な差が出やすいのは、やは
 り、デバッグ過程といえるかと思います。
 
  ▼前回までの内容をご希望の方は、バックナンバーをご覧ください。
  http://www.ari-web.com/mm/bn/index.htm

 設計過程は、必ずしも個人作業とならないことも多いため、個人差は、
 スキルや技術力の差として、歴然としたものがありますが、デバッグ
 のように技術力とはあまり関係のないところで差が出ることが少ない
 ように感じています。

 デバッグ過程では、検証のための技術や思考能力が必要とされますが、
 システムの基礎的な理解力が必要な局面もままあります。これらは、
 技術者個人の能力という所に行き着きますが、これまで書いてきまし
 たように開発ツールの使い方など、技術力以外の面でもわずかに改善
 できる部分があります。

 トラブルや以上動作時の検証のための、検証ツールとしての利用方法
 やデバッグ手法による効率化などにおいては、開発ツールの使い方や
 選択によって改善、実現できる場合がありますので、導入時の評価は
 比較的重要だといえます(重要でない問題というのはあまりないでし
 ょうが)。

 たとえば、シリアル回線やJTAGなどを通して検証用コードをターゲッ
 トにロードする場合でも、ツールや方法によって数分間ものロード時
 間差が生じる場合もあります。

  ▼e-words 情報通信時点 : JTAG
  http://e-words.jp/w/JTAG.html  
  通称JTAGは組織名称です。 

 開発要員の技術スキルなどを無条件に埋めることはできませんが、ツ
 ールによる効率を向上することは無条件に近いので、評価して可能性
 を検討する価値が高いと考えることもできます。

 これまで、開発ツールの話として開発前のツール評価などの観点から
 感じたことを書いてきました。何回も連続する細かい話題が多くなり
 がちでしたが、次回から、開発にかかわる閑話ということでツール以
 外のテーマも含めてお届けしようかと思います(いままでもツールだ
 けとテーマに沿っているわけでもありませんが)。

 それでは、次回もよろしくお付き合いください(^^)。

  ▼ARIは、デジタル機器のハードウェア、ファームウェアの開発を
   お手伝いしています。
   http://www.ari-web.com/develop/index.htm

………………………………………………………………………………………
■2.サウンド(33) 過去と周期と予想
………………………………………………………………………………………
 このコラムは音や音響についての話題をお届けしています。

 音の音程、ピッチの検出は、楽器用チューナーやカラオケの採点機能
 (歌ったときの音量や音程で機械が採点する機能)などでご存知かと
 思います。今回は、周期信号の周期検出や予測についてです。

  ▼採点ゲームはどのようなものかは...
   採点ゲームに挑戦! DO!KAERACLUB
  http://www.dokaraoke.jp/kenkyu05/index.html

 単音のピッチの検出は、かなり単純化した波形にとみなしてしまって
 も、簡単な技術で比較的うまくできます。チューナーやカラオケ採点
 機能などでは、リアルタイム性もそれほど高くありませんので(数秒、
 数百ms遅れても十分なので)波形を予測したり、瞬時に検出する必要
 がありませんが、楽器音をMIDI出力するような機器、シンセサイザー
 ・ギターなどのような機器では、早期に検出するため予測などが行わ
 れている場合があります(詳細はわかりませんが)。

 周期を検出するには1周期以上の繰り返しが発生した時に初めて周期
 性が見出せるにすぎません。確実性を取るなら2周期以上の時間が必
 要です。
 
 7月26日、甚大な被害を出した宮城県の地震では、最も大きい地震
 となった余震の予想がはずれた点を、報道機関が多く取り上げていま
 した。地震予測には、過去の振動データ以外に、地下のエネルギーな
 どの多方面の技術があるとは思いますが、大きなウェイトは、過去の
 観測結果から相関的に傾向を予測することだと思います。

 これを考えると、過去には、同地域で最初の振動より大きい余震が発
 生した観測結果はないとのことですから、先の余震の可能性を予測す
 ることは技術的にもかなり困難なのではないかと思います(振動観測
 以外の地磁気などのデータでは違いがあるのかも知れませんが)。

  ▼気象庁ホームページ
  http://www.jma.go.jp/

 過去のデータから、周期性や先の動向を予想することは、地震や気象
 現象に限らず、経済などでも、行われる最もポピュラーな考え方だと
 思いますが、過去のデータと相関がない現象や周期性の無い現象や周
 期性があってもデータが1周期に満たない場合には、一般に予想は困
 難かと思います。残念ながら、今回のように相関傾向が無い場合には
 予測できないのはやむをえないのではないかと思いました。

 地震に限らず、色々な現象について予想する時、周期性があるように
 見える場合も、一部を見て、その全てを理解し後の現象そ予測するこ
 とができないことは容易に想像できます。

  (気象庁以外の地震関連の参考サイト)
  ▼地震調査研究推進本部
  http://www.jishin.go.jp/main/index.html
  ▼防災科学研究所
  http://www.bosai.go.jp/jindex.html

 高い周波数と低い周波数が合成されたデータの高い周波数の1周期が
 判明した時点では、高い周波数1周期の性質を持つと考え勝ちですが
 全体の周期は、低い周波数と高い周波数の周期が一致した公倍数まで
 完全に安定的な周期を見出すことができません。

 経済や自然現象などに関する予測などでも、単純な増減を根拠に予測
 されている場合がありますが、根拠となるデータがどのような性質を
 持つものかを認識することは重要かと思います。

 信号波形をオシロスコープで時間やレベル窓を変えながら見ていると、
 全体像が判明していない場合、データの見る範囲や観点で全く違った
 ものと考えることもあるということを思い出します。

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 それでは、次回もよろしくお付き合いください。前回までの内容は、
 バックナンバーをご覧ください。

  ▼バックナンバー目次
  http://www.ari-web.com/mm/bn/index.htm

………………………………………………………………………………………
■3.3GPP音声通信(28) GSM音響規格−SLR/RLR測定 
………………………………………………………………………………………

 前回はGSM音響規格の概要とその測定項目についてご紹介しました。
 今回はSLR/RLR測定をご紹介します。

  ▼前回までの内容はホームページのバックナンバーをご覧ください。
  http://www.ari-web.com/mm/

 ■1.Sending Loudness Rating (送話ラウドネスレイト)

 SLR(Sending Loudness Ratingの略)は携帯端末の送話方向の音量を
 評価するための測定です。測定内容については3GPP規格の場合と基本
 的には同じです。

  ▼3GPP SLR測定については以前にご紹介しました。
  http://www.ari-web.com/mm/bn/20020704.htm

 測定方法についてGSM規格では基本的にLRGPを使用した測定を規定
 しています。LRGPとはLoudness Rating Guardring Positionの略
 でテストヘッドの事を指しています。

 テストヘッドとは人工口スピーカと人工耳マイクを人間の耳と口の
 位置関係を想定して設置した測定装置です。ダミーヘッドを使用して
 測定する事もできるのでしょうが、この測定方法が規格化されるより
 以前にGSM規格が策定されたためLRGPで規定されていると思われます。

 SLR値は端末別に以下の範囲内で規格値が規定されています。
 
 ・Handset   8±3dB
 ・Headset   8±3dB
 ・Handsfree  13±3dB

 ハンズフリー端末のみ値の範囲が異なりますがそれ以外は3GPP規格の
 ナローバンドと同じ値です。

 ■2.Receiving Loudness Rating (受話ラウドネスレイト)
 RLR(Receiving Loudness Ratingの略)は携帯端末の送話方向の音量
 を評価するための測定です。測定内容については3GPP規格の場合と
 基本的には同じです。

  ▼3GPP RLR測定については以前にご紹介しました。
  http://www.ari-web.com/mm/bn/20020718.htm

 測定方法についてもSLR測定同様、LRGPにて行います。

 RLR値は端末別に以下の範囲内で規格値が規定されています。
 
 ・Handset   2±3dB
 ・Headset   2±3dB
 ・Handsfree  2±3dB

 ハンズフリー端末のみ値の範囲が異なりますがそれ以外は3GPP規格
 のナローバンドと同じ値です。

 ほとんどの携帯電話には受話音量ボリュームがついています。この
 ため規格では受話音量が中間時、最小値、最大値でそれぞれRLR値を
 規定しています。

 上記は受話音量が中間時のRLR値ですが、-1〜5dBと実に6dBもの幅が
 あります。この範囲内に値がおさまっていれば基本的に規格に準拠す
 る事になる訳ですから、中間音量を範囲内のどこに設定するかにより
 端末により受話音量にバラツキがでる事になります。端末間の音量の
 相性をより良くするためにはRLR値の上下限幅を3dB程度にしても良い
 のではないかと思います。

 次回は感度周波数特性についてお届けします。

  ▼ARIは3GPP,GSM,PDC音響測定に対応した「3G携帯通信開発用
   音響測定システム MTA-01WB-S」を開発・販売しています。
  http://www.ari-web.com/mobile/3g/mta01-wbs/info-3gpp.htm

  ▼GSM端末音響システム 製品概要(MTA-01WB-S)
  http://www.ari-web.com/mobile/3g/mta01-wbs/info-gsm.htm

………………………………………………………………………………………
■4.RIAAの召喚状発行依頼(URLクリッピング)
………………………………………………………………………………………
 WEB参照可能な掲載記事などから毎日伝えられるニュースや記事から
 気になる情報や、翌日には埋もれてしまいそうな記事をピックアップ
 してご紹介しています(このメールマガジンの発行周期が隔週という
 こともあって新しい記事ばかりではありません)。

 ■違法ファイル交換で訴えられそうな「普通の」人々
 前回、全米レコード工業会 (RIAA) の訴訟と違法ファイル交換につい
 てを取り上げましたが、その後も、この問題は、ホットな状態で続い
 ているようですので、同じような話題が続いてしまいますが、続報を
 ご紹介します。

  ▼前回の内容をご希望の方は、バックナンバーをご覧ください。
   アメニティ&サウンド Vol.34
  http://www.ari-web.com/mm/bn/20030717.htm

 ナプスター問題の時以来、違法ファイル交換は行われていたにもかか
 わらず、ニュースなどでは少々下火傾向にあったように見えましたが、
 ここに来てRIAAの実力行使で、再びホットな話題になっているようで
 す。

  ▼Hot Wired Japan Wired News 2003年7月24日
   違法ファイル交換で訴えられそうな「普通の」人々
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/business/story/20030725102.html

 「普通の」人々の記事で自分の娘が行なった曲のダウンロードに対し
 て連邦政府からの召喚状が発行された人が取り上げられているのは、
 RIAAに与えられた召喚状発行依頼権を行使した召還状発行をめぐって
 問題となっているようです。

  ▼Hot Wired Japan Wired News 2003年7月23日
  RIAAの違法ファイル交換者情報要求に2大学が抵抗
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/business/story/20030724105.html
   Hot Wiredには、この関連記事が他にもありますが、関連ページで
  参照できますので、ここでは省略します。
 
  ▼Japan.Internet.com E-コマース 2003年8月1日
   RIAA の個人情報開示要求、新たに SBC が反発
  http://japan.internet.com/ecnews/20030801/11.html

  ▼Japan.Internet.com E-コマース 2003年8月4日
   上院議員、RIAA の召喚状大量発行を調査
  http://japan.internet.com/ecnews/20030804/10.html

 違法ファイル交換は「違法」なので元の問題は明白ですが、「召喚状
 発行」のやり方に問題が拡大しているのでややこしくなって来ていま
 す。

 違法ファイル交換は、アメリカだけの問題ではなく、日本でも同様で
 なのはご存知のとおりです。しかしながら、ファイル交換については
 書籍などで公然と方法が紹介されている状態から手を打つべきなので
 はないかという気もします。

 先日、殺人事件に電子メールで「やれ」と激励した女性が殺人幇助の
 容疑で逮捕されましたが、違法ファイル交換に関して、その方法を懇
 切丁寧に解説しているのは犯罪幇助とはならないのでしょうか?

 建前は個人的な合法的なファイルの交換としているでしょうが、確実
 に違法ファイル交換が目的で読まれることを認識して書かれていると
 思いますが...

………………………………………………………………………………………
■編集後記
 関東では、今週の深夜からTV放送が全局地上デジタル放送の試験波
 のため、静止画などになっています。

  ▼インプレス AVウォッチ 7月31日
   NHKと民放13社、8月6日から地上デジタル試験電波を発射
   −放送エリアや送信設備の動作を確認
  http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20030801/gdb.htm
  (余計なことですが、「7月31日発売」と書いてあります...)
 
 試験電波放送やメンテナンス停止はそれほど珍しいことではありま
 せんが、各局一斉に試験電波放送になることは、それほど多くない
 ので少しだけ新鮮な感じがします。

 タイムテーブル通りに進めると、もう数ヶ月で少なくとも東京タワ
 ー周辺などでは地上デジタルが開始されることになるので、試験放
 送も当然かという所ですが...

 アナログ置換をどんどん進めている状況の中、試験の各種の確認で、
 NGが出てしまった場合には、どのように進められるのでしょう。
 第3段階などであれば、出力を上げずに開始となるのでしょうが、
 第1段階で何かの問題が発生すると大変でしょうね(単純に興味だ
 けで悪意はありません)。

 それでは、次回、2003年8月7日Vol.35もよろしくお願いします。
                        ARI A&S 編集部

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