Artifit Voice(アーティフィット ボイス) JFHF-EC1401シリーズは、 J-FHFをコアテクノロジーに、高性能な適応フィルタとして、 高速でロバスト、外乱に強いアルゴリズムの特長を備え、 機能ブロック上のノンリニアセクションとの統合化によって、 音声通話システムに適してエコーキャンセラー、音声機能モジュールとなっています。
高速H∞フィルター/J-FHF方式を基本アルゴリズムとするエコーキャンセラー、 アーティフィット・ボイス・シリーズの最大の特長は、 従来技術では実現が難しいレベルの高速な収束性能とロバストな適応フィルターによる 高音質なエコーキャンセル性能です。
J-FHF方式は、適応フィルターの係数がベクトルデータになっており、 各サンプル遅延毎に最適に作用するため、変動要因に対してロバスト性が高く、 学習係数ベクトル(カルマンゲイン)は参照信号より算出されるため、 外乱や経路変動などの影響に対して安定的にエコーキャンセル性能を発揮します。
H∞制御を用いるJ-FHFのエコーキャンセラーは、 外乱に対する定常雑音のパワーなどを用いるアルゴリズムとは異なり、 収束速度が係数タップ長などの影響を受けません。
適応フィルター係数の算出方法の異なるH∞制御により高速に機能し、 通話開始から極短時間でキャンセル性能がピークに収束します。
ロバスト、高速なJ-FHF方式の適応制御は、環境ノイズ、突発雑音の影響を受けにくく、 高雑音下での通話であってもエコーを的確にキャンセルします。 高速な収束性能によってスピーカー出力からマイク入力の経路や伝達空間に変化が発生しても 高速に伝達関数が追従します。 人の動きや移動によって伝達関数が変化するような場合であっても、 エコーキャンセル性能が著しく低下するようなことはありません。
外乱に対する耐性により、全二重通話における同時通話(ダブルトーク)時にも キャンセル性能の低下につながる調整や収束時間を犠牲にする制御は不要です。
音声通話、音声認識システムのエコーキャンセラーが対象とする音響エコーの元となる信号は多くが音声や音楽などの有色信号です。 有色音に対してもJ-FHF方式をコア技術とするアーティフィット・ボイスは性能を発揮します。
従来技術の適応フィルターは、有色音(音声や音楽)より白色音(ホワイト性ノイズ)において適した特性を示し、 実際の音声通話機器が対象とする有色音に対しては性能が低下する傾向が見られますが、 J-FHF方式は、有色音声に対して高速性、ロバスト性などの性能を維持し、実際の機器で期待する性能を発揮します。
エコーキャンセラーの参照信号(スピーカー出力)は、通常、音声や音楽が対象となるため、 有色音を参照信号にした時の性能が実稼働時の性能となります。 有色音に対する性能は、音声通話、音声認識システムなどの利用分野におけるJ-FHFの有用性が高い理由の一つです。
J-FHF方式は、学習係数ベクトルは、前向きおよび、 後ろ向き予測器によってARモデルが予測されこれを使って白色化をおこなっているため、 実際の音声などスペクトルエントロピーが小さい場合でも適応可能となり、 有色音において高いエコーキャンセル性能を実現します。 この点はJ-FHF方式の優位性が顕著な一面です。
高音質を目的としたワイドバンド化によって、タップ数(フィルタ係数の個数)が増加しても、 伝達関数の高速な収束時間が維持され、高音質にエコーをキャンセルすることができます。
高品位音声に対応し、サンプリング周波数を2倍にした場合、 キャンセル時間相当の適応フィルターのタップ長は2倍となり、 処理しなければならない音声ストリームの量も倍速化するため、 一般に4倍程度の処理量になりますが、 アーティフィット・ボイスはJ-FHFを省演算化し、およそ2倍程度の処理量に抑えています。
音声通話システムで多く採用されているNLMS方式を基本アルゴリズムとするエコーキャンセラーの場合、 係数更新式の分母には遅延素子の総合パワーが含まれ、タップ数が長くなると更新量が小さくなり、収束速度は遅くなります。 対して、J-FHF方式は演算タップ長と係数の更新制御の速度は関連しないため、タップ長が長くなっても高速な収束性能はそのままです。
音響エコーが発生している時間に相当するキャンセル時間(タップ長)と処理量は比例しますので、 用途に合わせて最適なタップ長を選ぶ必要があります。 J-FHFはタップ長の変化による収束性能への影響が少なく、タップ長に対してスケーラブルになっているため、 搭載するシステムへの最適化が可能です。
さらに、省演算化のため、アーティフィット・ボイス・シリーズは、対応するDSPやプロセッサーごとに、 マルチメディアプロセッサ(PCにおいてはSSE,ARM系においてはNEON)機能を利用して最適化を行い、DSP,CPUの演算負荷を減らしています。
高性能なエコーキャンセラーをコアに 統合されたノイズリダクション、AGC、EQなど音声処理に必要な機能をご要望に応じて 構成することができる音声処理用の機能モジュールとなっています。
J-FHFは外乱に対する誤差が少ないため、 外乱によってエコーキャンセラーに起因する誤差を抑制するための配慮は不要ですが、 再生系の特性による非線形のひずみに起因する成分や周囲雑音は適応フィルターでは抑制されません。
このような聴感上好ましくないノイズや残留成分を抑制し、通話音声の品質を向上させるため、 エコーキャンセラーコアと統合化し、密に結合したノイズリダクション(雑音抑制)の構造を持ちます。 統合化したノイズリダクションは、エコーキャンセラーとノイズ・サプレッサーを直列に配した構成よりも、より適した音声品質が得られます。
搭載する機器に合わせて必要となる音質調整機能 (EQ:イコライザ、CMP:コンプレッサー、LMT:リミッター) や音声通話システムに必要とされることが多い AGC(Auto Gain Control / 自動利得制御)、 コンフォートノイズ生成器(Comfort Noise Generator)などをオプションで選択いただき、 カスタムの音声機能モジュールにしていただくことが可能です。
アーティフィット・ボイスの適応フィルターコアテクノロジーJ-FHFは、 JST(科学技術振興機構)によって国内および海外の特許が取得されており、 防御的な特許の問題はライセンス契約によりクリアされます。
コア技術の適応フィルターJ-FHF(高速H∞フィルター)は、 JST(科学技術振興機構)によって 「高速H∞フィルタ」、「J-高速H∞フィルタ」 関連特許が 日本、中国、米国、欧州、カナダにおいて取得されています。
United States Patent No.7039567、
特願2000-323958、特願2005-513012、
PCT/JP2007/058033
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