人体の振動感知は、音や光のように専門の器官で感知されているわけではなく、触覚や、体の各部が振動することによる刺激を振動として感じています。
乗り物などの振動には、加速度(G)を伴った衝撃性の振動と、継続的な振動など、振動の大きさや振動の仕方(振動波形)によって快適、不快などの判断をしています。
加速度と振動は、感知器官も人体に与える影響も異なりますが、自動車や鉄道、船などの乗り心地は、振動と加速度はともに重要であるため、乗り心地の評価の際には、加速度と振動を併せて評価基準に盛り込まれています。
日本工業規格JISの鉄道車両の振動特性では、ローリング、ピッチング、ヨーイングや左右方向の定常加速度などが含まれています。
乗り心地の評価や、振動の評価は多くの研究者によって研究されています。 詳細について興味がある方は参考文献を参照してください。
鉄道車両の振動特性-測定方法 体感アトラクションでは、乗り物などのシミュレーションをしていることが多いため、その指標や分類は、乗り物の乗り心地の分類が適しているといえます。
人体の振動感知には、方向性の加速度によるものと、定常的な振動とに大きく分けることができます。
方向性の加速度は、カーブなどで大きく傾いたり、乗り物のローリングなどのような大きなゆれが含まれます。 これらは、定常的な振動とは感知する器官が異なり、視覚や耳の奥にある三半規管で感知されています。
一方、定常的な振動は(定常的な振動には、衝撃性の短時間の振動も含まれます)、大きさや周波数、波形によって、感知する体の部位が異なり、その感じ方も変化します。 BassShakerによる振動は、この定常的な振動を発生するものです。 ここでは、以下、特に断りがない場合、「振動」とは定常的な振動のことを指します。
人の振動の感知は、皮膚感覚(触、圧、温覚)と、深部感覚(筋や腱、骨膜にある感覚器)によるものの2種類から成ります。
座席に着座している人体を振動させると、周波数によって、内臓、喉、眼球、腰というように体の振動する部分が変化します。 高い周波数になると接触している皮膚部分のみが振動します。
人は、皮膚感覚と、手足や頭が振動することによって発生する深部感覚によって、複合的に感知して、快、不快などの判断をしています。
振動の感知に記しましたように、手足や内臓などの体の部位が振動することによって記憶しているリアルを感じる振動や、快い振動などの感覚が生まれます。
実際の振動と同じように振動効果を出すためには、深部感覚を刺激するように内臓などを振動させるパワーを必要とする場合があります。 BassShakerのユニットは、ハイパワーなユニットですので、接触部分が振動する程度の局所的な振動感覚ばかりではなく、深部感覚を刺激する現実感を発生させる演出を可能とします。
実際の振動パワーは、サンプルやデモなどで体験いただくしかありませんが、ご参考には、淡路花博ジャパンフローラ2000の納入例に掲載しておりますように、鉄骨で組まれた橋脚の床ごと振動させている例などをご覧いただけば、ご理解いただけるでしょう。
BassShakerはハイパワーではありますが、人の姿勢に変化を与えるほどのゆれはできませんので、本当に大きな振動の場合には、ストロークの大きな磁気アクチュエーターや、油圧式のアクチュエーターなどと併用して利用されます。
しかしながら、映像との同期などの制御が容易であり、アクチュエーターのように機械的に作動する部分が無いため、メンテナンス性では勝っています。 複数個を用いると床全体を強く振動させるなどの用途でもストローク距離が短い場合にはパワーに関しては十分です。 淡路花博ジャパンフローラ2000の納入事例をご覧ください。
この例では客席となる橋脚の床部全体(鉄骨の橋脚で組まれた吊橋型の通路)を振動させていますが、十分すぎるパワーであったため、実際の公開時にはパワーを絞った状態で運用されました。
ARIはAURASOUND社プロ音響製品の取り扱い代理店です。 製品に関するお問合せ、振動ユニット BassShaker、スピーカーユニットの販売、お見積等、お申し付けください (個人のお客様への通信販売も承ります)。