発売時の告知ポスターは、「梅は咲いたか、Y・M・Oはまだか。」のコピーに、芸者がレコード盤を投げる絵柄。いわゆる「ポップ」な部分を排除、一部のファンを裏切る形になったが、その姿勢は新たなファンを取り込み、近年はこの作品を最高傑作に挙げる人も多い。細野自身も後に収録曲「CUE」を「YMO後期の完成形」と述べている。
このアルバムから作詞を本人達が手がけるようになった。「何をやっても売れちゃう。こんな面白い状況は二度と来ない。だったら遊んじゃおう」とは細野の弁。
BGM以前のYMOは、1'stのコンセプト、コンピュータミュージックによるアレンジとコラボレーションという範囲をある程度主軸としていましたが、BGMからは、ソリッド・ステート・サヴァイヴァーで垣間見せたオリジナル曲とアレンジという路線を前作までのようなメロディー主体のものから、シーケンサーによる同期や軽いサンプリング音源など音色とシーケンスのカラミによるアレンジの面白さにシフトしています。
BGMのアプローチは、次のテクノデリックでサンプリング音源やリズムによるアレンジへと展開してゆきます。
BGMのタイトルは、当時、タイトルを裏切るBGMにならない曲という皮肉を含めたタイトルとインタビューで語られていたように、ボーカル曲もインスト曲も少しとがった音楽ということが意識され、前作までのポップさとは異なる独自の領域に行きながらも、現代音楽とは異なるポップスの分野の曲というスタイルになっています。
「増殖」までのポップ路線、ピアノやギター、ベースなども用いられていた曲がお好きな方にはBGMはオススメできませんが、海外での評価も高く個人的にはYMOのアルバムの中で1、2を争う完成度のアルバムだと思います。
しばらく廃盤となっていたYMOのオリジナル・アルバム全10タイトルの復刻です。各タイトルとも復刻盤は坂本龍一、高橋幸宏の最新「YMO振り返りインタビュー」、そして細野晴臣東芝盤(1999年)インタビュー復刻掲載。
1999年細野リマスタリング音源使用。
<オリジナル発売:1981年3月31日>
CD収録曲
1. バレエ
Ballet
2. 音楽の計画
Music Plans
3. ラップ現象
Rap Phenomena
4. ハッピーエンド
Happy End
5. 千のナイフ
1000 Knives
6. キュー
Cue
7. ユーティー
U.T.
8. カムフラージュ
Camoflage
9. マス
Masst
10. 来たるべきもの
Loom
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