【Vol.17】2003年11月号 |
「ARIアメニティ&サウンド マンスリー」は、 毎月 第4金曜日にお届けしています。 みなさまにお楽しみいただけますよう努力する所存ですので、 今後とも末永くお付き合いいただけますようお願い申し上げます。
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1. 技術・開発コラム ■身近なDSPと誕生の時 |
このコーナーは、
ディジタル機器の開発やソフトウェア開発にかかわることなど、
技術・開発に関するコラムをARIならではの観点で
お届けできればと考えています。
「身近になるDSP」 という記事が EDN の12月の記事になっていました。 実際に携帯電話やデジタルAV機器は、専用もしくはセミカスタム(コア) のDSPを搭載していることが普通になり、パソコンもAV機能部分や 通信部分などにDSP信号処理用のハードを利用していることが多く 極身近にDSPが存在している状態になっています。 ▼EDN Japan.com: design feature 2003年12月号 「身近になるDSP」 : デビッド・マーシュ David Marsh コラムの内容と強い相関があるわけではありません。 |
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DSPコア、マルチプロセッサ化最近の組み込み用途などでシェアの高いのは、 ARMやセミカスタムのCPU、DSPコアを持つタイプのプロセッサになっています。 マイクロプロセッサやDSPは、 誕生してそれほど時を経ずに複数のCPUやDSP、 CPUとDSPを組み合わせたマルチプロセッサ化したシステムが利用されてきました。 当初、コスト・アップと規模が大きくなるため マルチプロセッサの演算性能が不可欠な機器を除いては、 マルチプロセッサ化されてはいなかったのですが、現在では DSPコア,CPUコアなどでワンチップにマルチプロセッサを持つアーキテクチャもあって、 マルチプロセッサもごく一般化しています。 |
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DSPアーキテクチャ「身近になるDSP」の記事でもアーキテクチャに言及されていますが、 DSPとCPUのアーキテクチャには、 基本的な部分では違いがありません。 一般に、 デジタルフィルタなどで有効な乗加算演算に特化したハードウェアを持っていることや、 データのバスとプログラムのバスが分かれていて 処理対象のデータのスループットが高くなるようになっているものがDSPとされ、 CPUと区別されています。 実際には、 CPUとほとんど違いのないものや、CPUに分類されていても 乗加算演算用のハードウェアを内蔵しているものもありますから、 専用の演算回路の有無で分類されているわけではありません。 右コラムの「高速化」でも述べましたが、 必ずしもDSPが専用回路で高速とも限りません。 ハーバード・アーキテクチャによる複数同時演算も 高度なパイプライン化などもDSPの専売ではなくなっています。 専用データ・バスやメモリとプログラムコードのメモリが 別れているタイプのアーキテクチャをとっているDSPが 最も汎用CPUと違いがあるということになるかもしれません。 |
DSP
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データスループットDSPを利用したい信号処理では、 音声であっても画像の場合でも、 多数のデータ(中間項の演算データも含めて)を扱うフィルタなどのような演算や、 一時的にデータを記録して時間遅延をするディレイなどの処理があります。 音声用、通信用、画像処理用などそれぞれの用途によって、 適したデータフローがあるため、データのバスのアーキテクチャは様々ですが、 多くののデータをできるだけ高速に演算回路に流れるようにすることで、 演算が高速化する処理が多いため、 たとえば、 2項の演算のそれぞれの値を別のデータバスから取得できるようになっているなど、 DSPのデータバスには 特徴的なアーキテクチャが採用されていることが多く見受けられます。 CPUとDSPの違いは、 この高速に処理するためのデータスループットに尽きるかもしれません。 マルチプロセッサ演算パワーが必要な用途では、 1チップで実現できる演算速度に限界があるため、 複数チップでの並列処理と、 プロセッサ間のデータの受け渡しを高速するための 専用入出力バスを持つものもあります。 汎用CPUのマルチプロセッサは、 プロセッサ時間を配分する目的のために マルチ化されるのが一般的ですが、 DSPの場合には、 ある特定の演算ソフトウェア同士が分散処理を行って データハンドリングと同期をしながら動作するために 入出力が設けられている点なども違いが見られる部分です(CPUと同様のマルチプロセッサ化の場合もあります)。 将来の身近な機器が誕生する時現在の民生器として身近に存在するDSPを搭載したデジタル機器も、 信号処理の演算を研究したり、 実証実験を行う初期段階では、 パソコンやワークステーションによるシミュレーションを行ったり、 将来、製品レベルでも実装できるだろう想定のもとに、 大規模なマイクロプロセッサボードで、 リアルタイム性能の評価や規模の実証実験などがい行われます。 現在は、 手元にある携帯電話やAV機器などに内蔵される 信号処理部のDSPのハードやプログラムも、数年前には、当時、 最高速、最大演算性能のDSPを 複数利用した試験機などで評価の段階を経ていることでしょう。 パソコンのCPUでは、 10年ほどで100倍高速化しているなどと比較されることがありますが、 DSPも同様にラックの大きさだったものが 1チップクラスで実行可能になっています。 |
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それでは、 次回もよろしくお付き合いください。 (^^)
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▲CONTENS |
2. 音と音響の四方山 ■デジタルスピーカの可能性 |
このコーナーは 音や音響についてのコラムをお届けしています。 あまり指向を決めているわけではありませんので 雑多な感じになりますが、 お付き合いいただければ幸いです。 | ||
前回は、IEEEの機関雑誌の記事 「デジタルオーディオの最後のフロンティア」をきっかけに デジタルアンプがオーディオ最後のフロンティアなのか デジタルスピーカかというような話題をしました。 今回もデジタルアンプとデジタルスピーカの話題を続けます(前回の内容をご希望の方はバックナンバーをごらんください) 。 ▼バックナンバー : アメニティ&サウンド マンスリー10月号 「音と音響の四方山」 「デジタルオーディオ最後のフロンティア」 デジタルアンプとデジタルスピーカ |
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どちらの場合も、 アンプ部分は、デジタルアンプを利用していることになるという意味では 「デジタルアンプ部」が「最後のフロンティア」に違いはありません。 デジタルアンプかデジタルスピーカかという点について コンシューマとプロ音響では、事情が異なるかもしれないと前回述べました。 主に、コストとメンテナンス、音響調整などの点から事情が異なるというものです。 前回は、プロ音響では、 デジタルスピーカがTCOの点で勝るのではないかと考えましたが、 さらに、考えてみたいと思います。 デジタルとアナログまず、デジタルスピーカとアナログの違いですが、 アンプを内蔵してデジタル信号を入力するか、 パワーラインのアナログ信号をパッシブに入力し、 アンプでドライブするかという違いです。 これはアンプの位置と伝送路が異なるだけなので、 簡単に考えると、 ノイズに強いデジタル対アナログという図式と電源の違いだけに見えますが、 商用施設では、伝送路の距離が長く、 スピーカの数やチャンネル数が多いことから、 家庭とは事情が異なってきます。 家庭用オーディオでは、 主に機器の価格と電源のとり方などの趨勢などで 主流が決定されるでしょうが、 どちらになったにせよ、 配線の距離による損失や価格的な差などが問題になることはありません。 |
デジタルスピーカデジタルスピーカは、 最後のスピーカが電器信号から空気に変換する仕組みは全く同じです。 単にアクティブ・スピーカがデジタル信号を入力信号にするため、 スピーカケーブルの伝送がデジタル信号になるという点が 「デジタルスピーカ」と呼ばれているものです。 この点、D級アンプなどのアンプ部分の仕組みの違いほど、 アナログとの違いはありません。 デジタルとアナログの
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分散とDSP内蔵の力デジタルスピーカの場合、 DSPを内蔵させるなどして補正や調整、 インテリジェントなスピーカとできる可能性があることは前回述べました。 DSPを内蔵することで、 特性やディレイのコントロールをスピーカ内蔵のDSPで行うようにできます。 さらに、デジタル信号ですから、 1本の伝送路に複数の信号をまとめることも可能です。 複数の信号を伝送しているため、 信号セレクタの役割をスピーカ側に持たせることができる可能性があります。 入力された信号の中から必要な信号を検出して音を出力しているので、 どの信号を出力するかを切り替えることも リモートコントロールできるようにすることも、 それほど困難ではありません。 DSPのパワーによりますが、 スピーカのローカルでBGMとアナウンスをミックスしたり フェードするような応用も十分に可能性があります。 可能性だけを語れば、 機械室から、アンプ、プロセッサ、チャンネル・ディバイダ、マトリックスなどが なくなり最低限の設備になるため、 非常放送が別になっているなど 条件が整えば機械室が不要になる可能性もあります。 全て良い?ここまではデジタルが良いことが多いのですが、 出力のパワーが大きく継続的に稼動される場合、 ジタルアンプといえども(DSPも内蔵していますし)発熱が問題になる可能性もあり、 全てにおいて良いと断言はできません。 アナログ伝送を行うのであれば、 一般には機械室などに機材は集中的に配置されますから 機械室の空調のみで熱の問題が生じても処理できますが、 スピーカにアンプを内蔵すると、 各所に熱源を配置することになります。 出力が小さなものであれば、 デジタルアンプなので発熱も少なくて問題とはならなそうですが、 出力がある程度以上のものを設置した場合には、 エアダクトとの空冷の経路を確保するようにしなければ ならないかもしれません(稼動状態にもよりますし、実際の熱量にもよります)。 ローコストに空冷を行にはエアダクトとの経路作ることになりますが、 エアダクトを介して音が廻る可能性が高いので、 防音も調整にも困難が生じるかもしれません。 そのほかにも、 非常放送との関係など課題はありそうですが、 DSP内蔵のデジタルスピーカで分散コントロールするシステムは、 なかなか面白そうな気がします(集中リモート・コントローラーは結構大変そうですが)。 |
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それでは、次回もよろしくお付き合いください。 (^^)
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▲CONTENS |
編集後記 |
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配信と配信停止 |
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